2018年9月1日土曜日

歯科衛生士のケースプレゼンテーション




はじめまして。
神谷町と大井町で勤務しております、歯科衛生士の本吉と申します。
大井町に来てからブログも書かせていただけるということで、今月担当いたします。
 
先日、歯科衛生士としても女性としても尊敬している、長谷ますみ先生が主催しているケースプレゼンテーションの勉強会に参加して参りました。
 
 
 


 
ここ数年は毎回参加しているのですが、似た顔ぶれが揃うので同窓会のように楽しい時間を過ごすことができました。
他の医院に務める衛生士さんとディスカッションしたり、共通の悩みを相談しあったり、、、
 
 
 
 
自分のやり方がいかに小さい世界でしか捉えられてなかったかがわかりました。
エビデンスに沿ったところは同じでも、アプローチの仕方が違ったりといろんな考え方があって、とても興味深かったです。
百人いれば百通りのやり方があって、患者さんも百人いれば百通りの治り方があります。
共通していることは、心から患者さんのことを考えて介入しているということ。
私もみなさんを見習って、これからも引き出しの数を増やしていき、患者さんのよりより口腔内のケアに貢献できたらいいなと思いました。
 
今回印象的だった言葉は「病気を悪として捉えない」ということ。
病気があるから、気づけることってたくさんありますよね。
歯を失ったから歯があることの幸せを知り、大切さに気がつけるのです。
私が担当させていただいている患者さんでも、歯を失ったからこそ、今ある歯を残したいといって、ご自身のケアを徹底され、定期的にメインテナンスにいらっしゃる方がいます。
痛みが出るのも、それ以上悪くならないよう守るために、ありますよね。
だから病気もすべてが悪ではないのです。
受け入れた上で、自分にベストな方法を探ることが大切なのだそう。
私たち医療従事者は患者さんのサポートができるよう全力を尽くし、よりよい方法を提案いたしますので、ひとりで悩まず、お気軽に相談にいらしてくださいね。
 
今回発表されていた症例はブラッシング指導の仕方や18年の長期症例、toothwearについてなどがありました。
特にtoothwearについてが印象的だったので、紹介させてください。
 
toothwearとは咬耗、摩耗、酸蝕症のことを指します。
そのなかでも酸蝕症の罹患率は高いそうで、私もよく見かけます。
酸蝕症は逆流性食道炎などによる内因性と、飲食などによる外因性に分けられます。
 

 
 
歯科の二大疾患である歯周病と虫歯(根管治療)は細菌由来の場合がほとんどですが、酸蝕症は細菌関与がない歯の脱灰なのだそう。
ですので、プラークコントロールが良好な方でも起こります。
 
《内因性》
内因性の主な病因は、塩酸からなる胃液の影響と考えられています。
お口の中に逆流することで歯が溶けだします。
具体的な関連として、逆流性食道炎、拒食症、アルコール中毒、摂食障害などによる嘔吐などが挙げられます。
 
《外因性》
職業性因子と非職業性因子に分けられます。
 
職業性因子とは特定の職業の方に起こるもので、メッキ工場やガラス工場などが有名ではありますが、最近ではワインテスターの方などにもよくみられます。
 
非職業性因子とは日常的にサプリメントや酸性の飲食物を口にする方にみられ、こちらが大半を占めます。
以前は和食中心の食事でしたが、近年では欧米型の食事に変わってきているのも要因の一つとなっています。
健康のためにと摂取している、お酢、黒酢、レモン、ぽんず、青じそドレッシング、ビタミン系のサプリメント、酸っぱいグミ、トクホマークがついた強炭酸飲料、栄養ドリンクなどなど…
からだのためにはよいとされているものでも実は根拠がなかったり、お口の健康にはよくないことが多いのです。
摂取するにしても、“適量”を意識していただくことをおすすめしています。
食生活を見直したり、摂取するときにストローを使ったり、よく噛んで唾液促進を促したり、フッ素洗口を行ったり、食事してから30分後の遅延磨きなど方法はいくつかあるので、ご相談くださいね。
 
 
今回勉強会に足を運び、学びの多い一日となりました。
お休みのときに全国から勉強しに来たモチベーションの高い衛生士さんとお話しでき、信頼関係もしっかり築きながら治している症例を目の当たりにしたので、私ももっと頑張らなくては!と刺激を受けました。
これからも精進して参ります。
 
読んでいただいてありがとうございました。